地図に男、男、男…混乱気味の尋問に裁判長も「このままでは分からなくなる」(産経新聞)

【法廷ライブ 秋葉原殺傷 第6回公判】(10)

 《加藤智大(ともひろ)被告(27)がトラックで秋葉原の交差点へ突っ込み、17人を殺傷した事件。おもちゃのフィギュアを買うため、秋葉原を訪れていた証人は、トラックが交差点に突入する音を聞いていた。「ドカン」という音で、トラックに気づき、窓ガラスが割れるなどしているのを見たという証人と検察官とのやりとりを、加藤被告は背中を丸めて座ったまま、微動だにせず聞き入っている》

 検察官「トラックの壊れた様子や、大きな音を聞いて何が起こっていると思いましたか」

 証人「事故が起こっていると思いました」

 検察官「トラックはどうなりましたか」

 証人「自分の前方斜め右の部分で止まりました」

 《法廷の両脇に設置された大型モニターに現場の地図が映し出される。証人が、トラックが止まった位置を「トラック2」と記す》

 検察官「トラックから誰が降りてきましたか」

 証人「運転席から人が降りてきました」

 検察官「男でしたか、女でしたか」

 証人「男でした」

 《検察官に促され、証人は現場地図に記された「トラック2」の印の脇に、「男」と書いた》

 検察官「男はトラックから降りた後、どちらに向かいましたか」

 証人「事故があった方向に走っていきました」

 検察官「男が何をするのかと思いましたか」

 証人「事故で(被害にあった人を)助けに行ったとのだと思いました」

 検察官「トラックから降りた男をどこまで見ていますか」

 《口で説明するのが難しいようで、証人から言葉が出てこない。検察官に促され、現場地図上に、そのとき男を見た位置を新たに「男」と記した。トラックで被害者らをはねた中央通りと神田明神通りの交差点近くだ》

 検察官「男の特徴で何か覚えていますか」

 証人「クリーム色の服を着ていました」

 検察官「どんな服でしたか」

 証人「上が長袖で、下はズボンでした」

 検察官「顔について覚えていることは?」

 証人「メガネをかけていました」

 検察官「その男がトラックから降りて、交差点に行くまでにどんなことをするのを見ましたか」

 証人「白い服を着た人に殴る動きをしました」

 検察官「男性ですか、女性ですか」

 証人「女性です」

 《この女性は亡くなった被害者Eさんとみられる。検察側は、証人に、女性の位置を「1」と示すよう求める。記入されたのは、現場近くにある大型家電量販店「ソフマップ」の南側。さらに、女性の東側に隣接するように、「男」と記入させた。これで、地図上には「男」の印が3つになった》

 検察官「女性はおなかを殴られているように見えたのですか」

 証人「はい。1回見えました。ボクシングでボディーをするようなしぐさが見えました」

 検察官「その様子を見てどう思いましたか」

 証人「その前に、女性の隣に男の人がいて、『刺された』といっていました」

 《証人の口から突然「男の人」という言葉が出てきて、困惑気味の検察官。男の人は被害者の1人とみられる。その「男の人」の位置が分かるようにしようと、検察官は証人に、現場地図上に「2」と書かせる。どうやら、この「男の人」が亡くなった被害者Fさんのようだ。地図上には「男」が3つあるだけでなく「1」や「2」、「あ」「い」など印が散在。内容が理解できなくなり、厳しい表情を見せる傍聴人も増える。その気持ちを村山浩昭裁判長が代弁する》

 裁判長「どれがどの順番かを記さないと、分からなくないですか。男の人は他にもいるのですか」

 検察官「いるかもしれません」

 裁判長「このままだと、(証人が)どの場所で見た(状況)か分からなくなるんじゃないですか」

 《検察官は村山裁判長の指摘を受け入れ、証人の男性に「男」の印に、見た順番を付けさせた。加藤被告は座ったまままったく動かず、ゆっくりとまばたきを繰り返している。質問はまた亡くなった女性Eさんが刺されたときの様子に戻る》

 検察官「証人は女性に近づきましたか」

 証人「近づきました。おなかを両手で押さえて寝ていました」

 検察官「おなかを押さえていたことからあなたはどう思いましたか」

 証人「よほど固いもので殴られたと思いました」

 検察官「男性(地図上で「2」と記した被害者Fさん)の様子や声の感じで、覚えていることはありますか」

 証人「低い声で『もうだめだ…』と言っていました」

 検察官「男性の『刺された』という言葉を聞いて、女性と男性が何をされたと思いましたか」

 証人「ナイフのようなもので刺されたと思いました」

 検察官「女性(Eさん)の顔は見ましたか」

 証人「20代くらいに見えました」

 検察官「女性の意識や呼吸などで覚えていることはありますか」

 証人「『痛い』と言っていました。意識はありました」

 検察官「女性に声をかけましたか」

 証人「周り(に集まった人)がカメラで写真を撮っていたので、ジャンパーをかけてあげました。『がんばれ』とも言いました」

 検察官「男性(Fさん)の周りにいる人のことは覚えていますか」

 証人「もう1人の男の人が来て、『がんばれ』と応援していました」

 検察官「女性や男性を見て…。う〜ん…」

 《思い通りの証言を引き出せないのか、検察官も戸惑っているようだ。加藤被告は意に介さず、目の前の長机に置かれた閉じられたままのノートを見つめている》

 検察官「トラックを出てきた男が(EさんとFさんに)何をしたのかと思いましたか」

 証人「ナイフで刺されたのだと思いました。2人とも血で染まっていました」

 《2人がナイフで刺されたことを強調したかったのか、検察官は再度、同じ質問を繰り返した。証言が複雑になってきたせいか、多くの傍聴人は厳しい表情になっていた》

 =(11)に続く

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